実教出版『高校日本史B』
http://www.jikkyo.co.jp/book/detail/14000003
いま話題の日本史の教科書である。東京都をはじめ、全国各地の教育委員会がこの教科書を採択しないやう現場に圧力をかけてゐるといふ。
どんなものか読んでみようと、神保町の三省堂書店で購入した。
高校の教科書は偏差値の高低によつて使はれる教科書が異なる。この本はB5版なので、比較的偏差値の低い学校で使はれてゐるはずだ。
なるほど、たしかに右派の人から自虐史観といはれかねない部分もある。しかし、それも事実である以上触れない訳には行かないだらう*1。支那や朝鮮半島の人びとが現在も日本を敵視するわけを理解するには恰好の教材だと思ふ。
読んでて面白いと思つたところは蒙古襲来の記述だ。チンギス=カンとクビライ*2=カアンと、“カン” と “カアン” とが使ひ分けられてゐて、しかもその違ひについての説明もある。大学入試レヴェルを逸脱してゐるのでは?
足利尊氏や源頼朝の肖像画について、現在の学説に沿つた説明がある。尊氏の騎馬像はすでに否定されてゐるが、頼朝の似絵まで否定されつつあるとは知らなかつた。
本屋さんに行つて『もういちど読む山川日本史』を買ふよりもこちらの方が安いし、オールカラーで読みやすい*3。あらためて歴史の勉強がしたいのであればオススメの一冊だ。ただし、山川出版社の『詳説日本史』のやうに一般の書店で容易に入手できるわけではない。検定教科書を取り扱つてゐる書店で注文をしなければならないのが面倒だ*4。