『妄言師@無銘の銘柄.jp』アーカイブ

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円谷英明著『ウルトラマンが泣いている ――円谷プロの失敗』

ウルトラマンが泣いている――円谷プロの失敗 (講談社現代新書)
6月に発売された講談社現代新書が電子化された。
優秀な跡取りを失つた家は悲惨だ。凡庸いや愚劣な弟が継いだばかりに家が没落してしまふ。本書中の円谷家の系図を見てゐたら、平家のそれと重なつて見えた。

円谷英二平清盛(創業者)
円谷一(英二の長男)=平重盛(長生きしてゐれば、東宝やTBSと切れることはなかつたであらう)
円谷皐(英二の次男)=平宗盛(著者によれば、この人のワンマン経営が諸悪の根源)
円谷粲(英二の三男)=平知盛(甥の英明とともに会社を建て直す姿が、平家没落・滅亡時の活躍と重なる)
円谷昌弘(一の長男)=平維盛(ある騒動で社長の座を去る姿が、都落ちで脱落する維盛のやうだ)
円谷英明(一の次男・著者)=平資盛

  • おことはり。この表は敬称略*1

皐の子・一夫さん*2については遠慮気味に書いてゐるが、本当は彼の無能ぶりをメッタ斬りにしたかつたのではないか。一夫さんも父親を悪し様に書かれては面白くないだらうから、彼の立場から見た円谷プロの内幕を語つてもらひたいものだ。
最後に、この本のタイトルが間違つてゐることを指摘しておく。泣いてゐるのはウルトラマンではない、家族の繁栄を願つた泉下の円谷英二だ。

*1:このブログは基本的に物故者は敬称を省き(訃報記事を除く)、存命中の人は敬称を付けてゐる。

*2:平家でたとへれば平清宗か。