『妄言師@無銘の銘柄.jp』アーカイブ

2019年1月まで更新していた、はてなダイアリー『妄言師@無銘の銘柄.jp』を保管しています。

瘡蓋を剥がす羽織ゴロ

読売新聞の記者と名乗る男が、数年前に親戚がしでかした事件について話を聞きたいとやつてきた。応対した家族は断らうとするが、そんなことには慣れてゐる新聞記者は言葉巧みに食ひ下がる。玄関に近い部屋で聞き耳を立ててゐた妄言師は、取材上手の記者に感心するとともに “かうして年寄りは騙されていくのか” と陥落寸前の家族を見るに見かねて会話を遮つて記者を追ひ払つた。
骨のある記者ならまた来るかもしれないので、家族には「話を聞くな、人間扱ひしなくていい、しつこく食ひ下がつたら『購読を止めるぞ』と言へ」と言ひ含めておいた。
思ひ出すのも忌いましい事件を、なぜ今になつて持ち出すのか。話を聞きたければ傍聴席にゐるうちにしておけばいいのに。