『妄言師@無銘の銘柄.jp』アーカイブ

2019年1月まで更新していた、はてなダイアリー『妄言師@無銘の銘柄.jp』を保管しています。

『この世界の片隅に』

109シネマズ川崎にて21時35分の回を鑑賞。公開2日目なのにパンフレットが売り切れてゐた。
監督は『マイマイ新子と千年の魔法』の片渕須直監督。今年はアニメ映画の当たり年だが、妄言師的にはこれが大本命である。
こうの史代さんの原作は未読。なるべく事前に情報は入れないやうにしてゐたが、戦争もので原爆と関はりがある話といふので、片渕監督には期待はしてゐるものの『火垂るの墓』を観に行くやうな重苦しい足取りで映画館に向かふ。
感想をひと言でまとめると“いろんな意味で恐ろしい映画”。
上に書いたやうに原作を読んでゐないので、主人公がどのやうな形で原爆と関はるのかが分からない。もしかすると自身が被爆してしまふかも知れない。やがて迫り来るカタストロフィにおののきながら観続けなければならないのでホラー映画よりも緊張感がある。
特殊な能力で暴れるでもない、ロボットに乗るでもない、派手な見せ場のないアニメはレヴェルの高い演出で、観客を惹きつけなければならない。とかく暗くなりがちな銃後の生活に、これでもかと笑へるシーンを用意して観客を飽きさせない工夫が施されてゐる。
そして主人公・すずを演じたのん能年玲奈)さんの演技が絶品だ。前事務所と揉めて活動の場を狭められたのが惜しい。朝日新聞が協力してゐるなら、テレビ朝日に働きかけてもつとこの映画をPRしろ!
とにかく期待に違はぬ出来で、片渕監督にはただただ恐れ入つた。地味に長くつづきさうな気がするので、年内にもう一度観に行きたい。
このブログを偶然みてゐるあなた、ぜひ映画館で観て欲しい!