『妄言師@無銘の銘柄.jp』アーカイブ

2019年1月まで更新していた、はてなダイアリー『妄言師@無銘の銘柄.jp』を保管しています。

『カラフル』

TOHOシネマズ川崎にて21時45分の回を鑑賞。レイトショーなので前売券を使ふのが勿体ないと思ひ*1チケットを買つた。
先に原作を読んだのは失敗だつたかもしれない。原作を補完しながら観てゐる自分に気付いて、素直に作品世界に没頭できなかつた。
今回も『クレヨンしんちゃん』ゆかりのキャストが出てゐた。駄菓子屋の少年たちのひとりが真柴摩利さんであることに気付いたけれど、不覚にももうひとりが矢島晶子さんであることに気付かなかつた。ほかにも沢田先生役に藤原啓治さん、校長先生役に納谷六朗さんが出演。
有名俳優を起用したキャストも下手とは思はなかつた。『魔法遣いに大切なこと』でアフレコの経験がある宮崎あおいさんは上手いと感心したものだ。主役を演じた冨澤風斗さんは『河童のクゥと夏休み』の横川貴大さんのやうな “声変はりが始まつた頃” の声に、こんど冨澤さんの出演作品を観るときは “男の声” になつてゐることだらう。
前売券が2枚残つてゐるけど、3回も観ることはないかも。でもチケットが勿体ないなあ・・・。

  • 以下追記。

文学と映画との違ひについて考へさせられた。原作は、真の魂が真の体に戻る手続きを踏むところで終はるけど、映画ではその後母親の買つたダウンジャケットを着て早乙女と新二子橋へ行き 「生きてゐる」 といふ台詞を真に言はせてゐる。
市川崑監督の『炎上*2』も、主人公が金閣を放火して裏山で煙草を一服して終はる原作とは違つて、逮捕され連行中の汽車から飛び降り自殺をする場面を補つてゐる。
最後まで書かないのが文学だけど、映画といふものはきちんと結末を付けないと終はれないものらしい。映画の文法にとらはれない作りを目指しても、最後の最後はやはり “映画” になつてしまふ。

*1:レイトショーは1,200円、前売券は1,300円。

*2:原作は三島由紀夫の『金閣寺』。