塩野七生『ハンニバル戦記 ローマ人の物語Ⅱ』

ハンニバルとスキピオ・アフリカヌス、NHKの大河ドラマの主役を張れさうなキャラクターの登場で退屈しなかつた。特にスキピオ裁判の二日目におけるスキピオの振る舞ひは、英雄の引き際としてはあまりにも恰好が良すぎる。
巻末の三都市破壊に関する考察からして　塩野さんは “必要悪” を肯定する人のやうだ。
以下、気になつた箇所を太字で引用する。
天才とは、その人だけに見える新事実を、見ることのできる人ではない。誰もが見ていながらも重要性に気づかなかった旧事実に、気づく人のことである。（173頁、10行目）
年齢が、頑固にするのではない。成功が、頑固にする。（266頁、1行目）
歴史上では、アウトサイダーのほうがかえって旧体制維持に情熱を燃やす例にしばしば出会うが、カトーの場合もこれにあたる。（347頁、10行目）　 新選組もまさにこれにあたる。

• 追記。アマゾンレビューをみてゐたら、全く同じところを引用してゐる人がゐた！
• さらに追記。そのうちNHKが、司馬遼太郎の『街道をゆく』のやうな手法で映像化する悪寒･･･読んでる最中に、ふとオモタよ。