『妄言師@無銘の銘柄.jp』アーカイブ

2019年1月まで更新していた、はてなダイアリー『妄言師@無銘の銘柄.jp』を保管しています。

品川心中の後半

通常「とうに腰が抜けてをります」で終はる品川心中だが、その後のお噺は以下の通り。
金蔵の話をきいた親分は、おそめ(女郎)への仕返しを思ひつく。親分の言ひつけで食を断つてゐた金蔵が、やつれた姿で白木屋に現れる。おそめと話をしてから、ひとり床につく。そのあと、親分と金蔵の弟と称する民公が白木屋に現れ、おそめに「金蔵が死んだ」と言つて、金蔵がおそめと取り交はした起請文と金蔵の戒名を書いた紙を取り出すが、民公は戒名を書いた紙を紛失したといふ。おそめは金蔵ならうちに来て寝てゐると言つて、二人を金蔵が居る部屋に案内するが、金蔵は居ずに寝床には戒名を書いた紙だけが置いてある。震へるおそめに親分は、このままでは毎晩金蔵が現れて責め殺されるから、髪を切つて回向料をつけて寺に納めてはいかがと勧める。おそめが髪を切ると金蔵が現れる。以下 “さげ”。

「ざまみやがれ! てめえがな、あんまり “あこぎな” ことをしゃあがるから、みんなでこうやって仕返しをしてやったんだ」
「ほんとうにまあ・・・・・・みんなでよってたかって人を坊主にして、どうするんだい?」
「どうするって、おめえがあんまり客を釣るから、比丘(魚籃)にしたんだ」

参考文献:興津要編『古典落語(続)』講談社学術文庫

昨夜の『タイガー&ドラゴン』ではこの仕返しのくだりをウルフ商会への殴り込みにアレンジしたとの指摘を感想巡りで知つた。恐るべし宮藤官九郎