『新選組!』第33回
いくつか思ひついたことを挙げます。
- 実は無銘的には鴨暗殺・池田屋よりも山南切腹が最大の山場。次は油小路が見せ場と思ひ期待してゐる。
- ドラマでは武士らしい最期を遂げた山南だが、辞世が残つてゐないことから鑑みて、実際はそんな美しい死に方ではなかつたのだらう。しかし、この後のことを思ふとあそこで死ねた山南はむしろ幸福だつたと言つても良く、『平家物語』で言へば平家の滅亡を予見しながら、それを見ることなく死んだ小松重盛のやうではないか。
- 切腹の場面、やかましい音楽のおかげで感動が台無し。
- 大河ドラマで切腹を描くのは稀である(切腹の直前はよく描かれるが、切腹そのものは意外と少ない。また戦に敗れた末の自害は別として)。今年は新見錦(相島一之)を皮切りにこれからも切腹の場面が多く出る、いはば“切腹祭り”である。なお無銘が過去の大河で最も印象に残つてゐる切腹は、『花の乱』の山名宗全(萬屋錦之介)のそれである。
- 悲しい話にもかかはらず、笑ひを取らずにゐられない喜劇作家の悲しい性を見た。
- 無銘の最大のツボは、土方の号泣。
- 土方と山南とが手をつなぐ場面、三谷さんはいつの間に腐女子を喜ばせるための手管をおぼえたのか。
- 前にも書いたと思ふが、無名の姉は山南敬助のファンなのだが、『ウルトラQ』と『恋するハニカミ』とで堺雅人さんには興醒めになつたらしい。
- 実力を認め合ひながらも仲良くできない土方と山南とを見てゐると、『白い巨塔』の財前と里見とを思ひ出す。